愛されることの奇跡、愛することの軌跡
「あのね、初めて会った女の子に遊ぼうよって言う時には、まず自分の名前を言わなきゃね」


でも、私は男の子にも、ノリさんにも自己紹介をしていない。


私は立ち上がった。


「申し遅れました。私、金澤玲奈と申します。よろしくお願いします」


『僕は、安西徳文(アンザイノリフミ)です。"ノリ"でいいよ。で、そこにいるのは息子の大和。小学校1年生。健吾と玲奈ちゃん、さ、入って』


ノリさんのおうちは、父ひとり子ひとりの割には、すっきり整頓されていた。


『これ、オススメのスイーツ』


と、ノリさんが出してくれたのは、アップルパイ。


『農協の女の子がたくさん焼いたからって昨日もらったもので申し訳ないんだけど、味は間違いないから』


大和くん、健吾さん、私は揃って"美味しい!"と叫んだ。


りんごについては、間違いなく美味しいんだろうけど、このパイのサクサク感に混じった中のしっとり感の融合がたまらない。
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