愛されることの奇跡、愛することの軌跡
私は、以前の実穂さんは知らない。


今の実穂さんは、初めて会ったワインの時は一瞬なので置いといて、先日の成瀬川邸の玄関で会った時や、昨日や今日の花屋での様子を見る限り、ワガママとか、自己チューとか、そんな気配は感じない。


むしろ、自分探しに必死なところが、偉いと思える。


成瀬川家のお嬢様なのに、化粧は薄くて、手は荒れてる。


まぁ、ちょうどお父様と良美さんの間の顔つきで、健吾は本当に良美さんそっくりだけど、実穂さんは、少し厚めな唇はお父様なのかな。


でも、話し方は本当に良美さんのコピーだわ。


「お父様には、可愛がられてるんじゃないんですか?」


『あの人は、私をぬいぐるみみたいな扱いをしているだけ。手元に置いておきたいから何かにつけて私の行動に反対するの。だから、花屋で働いていることも内緒なのよ』


「"お前が働く必要はない"みたいな?」


『そう。だから大学出ても、就職させてくれなかった。さっさと私の決めた男と結婚しろって』


そんな。窮屈すぎる。
< 374 / 548 >

この作品をシェア

pagetop