愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『ゆっくり進もう、俺達は』


お互い身に付けているものが何もない、生まれたままの姿で健吾は私を腕枕しながら言う。


『ピロートークで言うことじゃないかも知れないけど、玲奈がきちんと、自分で納得できる自己啓発を終えるまでは、俺は玲奈を縛り付けることはしたくない、できれば』


「そんなの、いつになるか分からないよ。それに今の健吾の言葉、本音じゃないでしょ?」


私は、顔を上げて健吾を見た。


「大人ぶらないで、健吾。素直に言ってよ」


私の言葉を聞いても、目線は天井のままの健吾。


無理…してるよね。


「私の目を見て!」


私は、健吾の本当の気持ちを知りたかった。


『全く、玲奈には敵わないな』


健吾は体ごと私の方に向けた。


『ご指摘通りだよ。俺の本音は、いつも玲奈にはこうして横にいて欲しいんだ。東都大はそうじゃなくても男の割合が高いのに、玲奈のキャンパスライフは無事に悪い虫がつかずに過ごせるんだろうかって、不安いっぱいなんだ』


"だから…"


健吾は私の頭を撫でながら、ゆっくり話す。
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