愛されることの奇跡、愛することの軌跡
「サプライズには、しないんだね」


こういうのって、驚かせるものなんじゃないの?


『いや、サプライズにしてしまうと、俺の言葉がうまく玲奈に伝わらない。しっかり最初から"私に向けた言葉なんだ"と、受け止めてつつ聞いてもらいたいから、先に予告しておいた』


「うん、分かった。楽しみに待ってるよ」


『それらの要素を授業に絡めて、俺の伝えたいことが伝わるといいな』


"さぁ、寝よう"と、健吾は私を引っ張って、寝室に入った。


ふたりでベッドに入ると、私の背中から健吾が抱きついてきたけど、私は向き合うように寝返りを打った。


「ねぇ、健吾」


『ん?』


健吾は私の髪を撫でてくれたけど、私だって、言いたいことはあるんだよ。


「どこまで完璧なの?」


『何が?』


「健吾のことだよ。話は上手いし、頭はいいし、優しいし、サックスも吹けるし…今日もカッコよかったなぁ。できれば間近で見とれていたかったけど、健吾があの後キャーキャー言われたら、逆に優越感」


『優越感?嫉妬とかじゃなくて?』
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