ライトブルー
「あら、浅黄、楓ちゃん」
到着した駅の前で、浅黄のお母さんつまり私の叔母さんが待っていてくれた。
「浅黄、ご飯ちゃんとつくってる? 楓ちゃん任せでしょ」
浅黄は黙る。
「楓ちゃん、いつもありがとね。ほんと、助かってるわ」
「……いえ」
優しい微笑みを浮かべている叔母さんの前で、浅黄についての文句を言う気にはなれなかった。
「はい、母ちゃん。これ、土産」
浅黄は小さな箱を叔母さんに手渡した。
「あらあら、もらってもいいの? こんな珍しいお菓子」
「美味ぇよ、それ」
そんなやりとりを見ていたら、複雑な気分になった。私は親へのお土産のことなんか微塵も頭になかった。昔からそうだ。浅黄は故郷や家族を大事にする奴だ。