ライトブルー
その日の夕食は大人数だった。
私の家で、私の家族だけでなく浅黄の家族、近所のひとまで集まって久しぶりに宴会をやった。私と浅黄が帰省したっていうだけなのに。
「ごちそうさま」
「あら、楓、もう食べないの?」
「うん」
私のお母さんは顔をしかめる。
「これから、さっき獲れた新鮮なお刺身が来るって言うのに。それと茶碗蒸し、好きじゃなかったっけ?」
「……好きだけど」
お刺身も茶碗蒸しも好きだけど、基本私は地元特有のこういう場は苦手だった。
早々と席を立って二階にある自分の部屋に行こうとすると、
「おお、彰吾(しょうご)じゃないか!」
――その名前を聞いて、私は固まった。