ライトブルー
「こんばんは」
「彰吾、腹へってんだろ? 何か食べていけよ」
すっかり酒に酔った私のお父さんは、彰吾の腕を強引に引っ張って座布団に座らせた。
「おーい、ビール追加!」
調子付いたお父さんがそう言うと、ドッと笑いが起こる。
「楓、彰吾くんにビールついでやって」
「え……」
お母さんからビールのビンを渡されてしまった。
彰吾というのは、向かいに住んでいる、まあだいたい幼馴染みのようなそうでもないような、よくわからないひとだ。小学校の頃に登校班が同じで、一緒に登下校していたというだけで、他には特に接点もなかった。
「おまえ、楓?」
「はい」
なぜか彰吾はフレンドリーだった。
「ビール、どうぞ」
「おお、ありがと……っておいおい」
うっかりビールがグラスから溢れてしまった。
「す……すいません」
バタバタと私は台所に布巾を取りに行った。