ライトブルー
その後もなぜか私は彰吾としゃべらなければならなかった。よく知りもしないひととしゃべらなければならない場面が多いのも、この港町の窮屈なところだ。
「今、大学生?」
「はい」
「早いな。小学校一年生の頃の面影しか頭になかったから、一瞬誰かと思った」
「はぁ……」
彰吾は笑ってビールを啜る。たしか、彰吾は私より五つ上くらいだった。
「それにしても、相変わらず淡々としてるよな」
「淡々……ですか?」
「うん。気が利かないところもあんまり変わってないし」
ちょっとカチンときた。それと同時に思い出が蘇る。
「彰吾さんも失礼なところ、相変わらずですよね」
と、嫌悪感むき出しで言ってやった。私は昔、この男にいじめられた覚えがある。
「今でも泳げなかったりする?」
「もちろん。トラウマですから」