ライトブルー
翌日、私は昼過ぎまで寝ていた。
目をあけると、もはや見慣れなくなった天井が見えて、ここは実家なのだ、と改めてわかった。
海の音が聞こえる。何やら思い立って、私は眠い目をこすりながら海に向かった。
「おい」
突然呼びとめられて振り返ると、なぜか彰吾がいた。
「……何ですか?」
私は眉間にシワを寄せる。
「昨日はどうも。ちょっと仕事が休憩時間でな」
「そうですか」
私は中身のないような声で受け流す。
「……おまえ、いつもそんなに無愛想なのか?」
「私、用事があるので」
そそくさと私が帰ろうとすると、
「待てよ。おまえ、海の音聴きにきたんだろ?」
それを無視してさっさと帰ればいいのに、私の足はなぜか動いてくれなかった。