ライトブルー
どうやらこの意地悪そうな従業員が私に仕事を教えることになっているらしい。
「あんた、清掃なんかしたことあんの?」
「はい。毎日しています」
「言っとくけどねぇ、家の掃除とは違うのよ、わかる?」
何だかヤバい現場に巻き込まれてしまった気がする。
そもそも最初からあの高すぎる時給に疑問を抱くべきだった。
「まったく、こんな素人と二人一組で部屋の掃除だなんて、たまったもんじゃないわ!」
それはこっちのセリフだ。
「あんたはトイレ掃除。他の仕事は任せられないわ。不手際があれば私が叱られるんだから。あー、もう嫌」
ほんとムカつく。この女もそうだけど、バイトに誘った彰吾に対して腹の底から怒りが湧き上がってくる。
その日、私が怒りのあまり力を入れすぎて、便器を擦るブラシをへし折ると、女は「弁償しろ」とかいろいろ言う。それを私は難なく受け流した。
私の性格は、こういうときは有利なんだと思った。