Be happy!

「え、ああ……元カレが……」



振り返った麻美さんの目を盗んで、ぐっと唇を噛んだ。



店内の端と端の席だから、麻美さんとの会話は聴こえる訳がない。



あの子の手を引いた隆太の顔はニヤけてる。よくもまあ、あんな顔が出来るものだ。
先週の土曜日、隆太の部屋で別れを告げてから四日しか経っていないというのに。



「へえ……、まだ子供だね。化粧だって下手、塗ったり付けたりしたらいいと思ってる」



隆太たちを見送って、麻美さんが鼻息を荒げた。ぐっと伸ばした手で、鷲掴みにしたワインボトルを私のグラスに傾ける。


グラスの中で波打つワインを見ていたら、腹立たしさが蘇ってきた。



「ですよね、あんな子に負けてられないですよね」



勢いよくグラスを仰いだら、麻美さんが怯んだように体をびくつかせた。




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