運命のように君を愛してる~先生との赤い糸~


【枢】


仁田と一ノ瀬を車に乗せ運転する。

信号にかかったところで、今まで一言も喋らなった仁田が口を開いた。

「切先」

「ん?」

「俺…優姫のことが好きだ」

そう聞いた瞬間、握っていたハンドルの手に力が入った。

「ちょっと、陸!切先にそんな事を言わなくても…」

「…なんか、あんたには言わないといけない気がする。俺、テストが終わったら優姫に告白するから…」

「…好きにしろ…」

俺は冷静を装うに必死だった。



それから、仁田を送り車の中は俺と一ノ瀬だけになった。

「ねぇ、先生」

「なんだ?」

「陸はきっと本能で気づいてると思う。切先と優姫がただの”義理の兄妹”じゃないこと…」

「気づかれたか…」

「私を甘く見ないでよ~」

「一ノ瀬、お前には俺と優姫の家の事を全部話す」

「やっと、話してくれるんだね」

それから、俺は車を停めて一ノ瀬に話をした。

親父が学校の『理事長』である事。

俺と悠が『切田グループ財閥』の社長と副社長である事。

俺が知る限りの義母さんと雨宮太一の『離婚した理由』。

一ノ瀬は驚きながらも黙って最後まで聞いてくれた。

「…嘘、優姫はお父さんがDVしてるなんて一言も…」

「お前に心配かけたくなったんだろ」

「優姫…」

「……」

「でも、切先…いいの?陸が優姫に告白しても…」

「…んなわけないだろ!!本当は仁田に今すぐ『優姫は俺の女』って言ってやりたい」


…でも、今は『教師』と『生徒』でもあるから言えないんだ。


「切先…」

それから、俺たちは黙ったままだった。

< 53 / 122 >

この作品をシェア

pagetop