運命のように君を愛してる~先生との赤い糸~
保健室。
―――ガラガラ。
保健室に入ると、誰もいなかった。
「保健室の先生はいないかよ」
「今日は休みだって。それより、瑠佳先生をベッドに…」
「ああ…」
瑠佳をベッドに下した時、なにかが床に落ちた。
「なんだ?これ…」
その写真を見ると、若い頃の親父と母さんと…俺がもう1人の親父のように慕っている津田さん。
そして…
今の彼女によく似た母―――幸野(旧姓:高木(たかき)瑠美が映っていた。
「…っ!」
「陸、優姫!」
「瑠佳は!?」
少し息を切らしながら、樹里と切先が保健室に入って来た。
「気を失ってるだけみたい」
「そうか…」
「よかった…」
優姫の言葉に、2人は胸を撫で下ろした。
「…なぁ、切先。こいつの実の父親は…津田さんなのか?」
「なんで、その事をお前が…」
「…どうなんだよ!」
俺は真剣な面持ちで、切先に問いかけた。
「ああ、そうだ…」
と、切先は静かにそう答えた。
「…っ、瑠佳をこれ以上苦締めてどうするんだよ!?」
「…やめて!陸」
俺は瑠佳の声を聞いて、ベッドに駆け寄る。
「瑠佳!大丈夫か?」
「ん、私は平気。あの時…『あなたは関係ない』とか言ってごめんなさい。陸の顔を見たらどう話せばいいかわかんくなっちゃて…」
「もうわかったから…。心配さすなよ」
「陸~~~、…ひっくっ…」
「はいはい」
俺はそう言いながら、瑠佳を抱き締をめて背中を優しく叩いた。
「…お前ら、いつの間に…」
切先は俺と瑠佳のやり取りを見て、驚きを隠せてないようだった。
「あ~、もう少し俺たちの『関係』を隠しておきたかったのに~~」
「陸、瑠佳先生と付き合ってるの?」
「ん、瑠佳が切先に捨てられたから…俺が拾った」
「もしかして…『あの日』か?」
『あの日』とは…『GWホテル』で瑠佳が切先に完全にフラれた日の事。
「いや、あの日はこいつが『自分は愛人の子だから…』って大泣きして。…って、初めてキスをしたのが…その時だったから『あの日』からでいいのか?」
そう言って、瑠佳のほうを見る。
「ちょ…なにを枢たちの前で言うのよ!」
「痛っ!マジで痛い!」
と、思い切り瑠佳に背中を叩かれた。
「ブッ!」
「ちょっと、枢。なにを笑ってんのよ!?」
「いや、そんなふうに慌ててるお前を見てるの初めてだな~と思って…」
「…っ、そんな事ないわよ」
瑠佳の顔は真っ赤になっていた。
「…瑠佳がセフレと縁を切ったのは仁田…いや、陸のおかげなんだな」
切先に初めて”名前”で呼ばれて嬉しくなる。
「そうそう、もう瑠佳に『男遊び』なってさせねぇから!」
「瑠佳を頼んだぞ、陸」
「おう!」
「枢ったら、いつの間に瑠佳先生の『お父さん』なったのよ…」
「さぁ~、…知らないわ」
俺たち…『今カレ』と『元カレ』が妙に盛り上っているのを見て、優姫と瑠佳は呆れながらも笑っていた。
「あの~」
…ん?
なんか後ろから…怒りを感じる。
「そろそろ、私にもわかるように最初から話してくれないかな?」
樹里はニコニコ笑いながらも、声が怒りに満ちていた。
…しまった!忘れた!!
やっべ~~…!
「あっ、はい…」
俺は恐怖を感じながら返事をした。