伊賀襲撃前夜
「祥之介が変な事、言うからだ」
「…変じゃないさ」
祥之介は自分のお腹の前で握られている成葉の手に自分の手をそっと重ねた。
「本心だ」
「…祥之介、楽しかったな、今まで」
「どうした?急に」
「…死んではいけない」
「成葉?」
成葉の顔を見ようと腕を解こうとする祥之介だが、成葉はより一層力を込めて抱き着いた。
「私は…、祥之介を失いたくはない」
「成葉…」
「生きていてほしいのだ」
「ああ、分かった。命を粗末にするような戦い方はしない」
「約束してくれるな」
「ああ。成葉も約束してくれ」
「何を?」
「戦には出ないと」
「…ああ、約束する」
「良かった」
「…もう行かなければならない。父に呼ばれている」
成葉はゆっくり腕を解き、部屋の方へと歩き出した。
「成葉っ」
祥之介に呼び止められ一瞬躊躇ったが、成葉は足を止め、振り返った。
「なんだ」
「何かあったのか?」
「何もない。明日から戦だと思うと少し怖いだけだ」
「そうか。それならいいが」
「祥之介もそろそろ皆の所に戻った方がいいんじゃないか」
「そうだな。じゃ、また明日、おやすみ、成葉」
「おやすみ、祥之介」
祥之介は成葉に軽く手を振ると裏庭から出て行った。
「…」
成葉は祥之介の姿が見えなくなるのを見届けると、急いで父の待つ部屋へと戻った。
「…変じゃないさ」
祥之介は自分のお腹の前で握られている成葉の手に自分の手をそっと重ねた。
「本心だ」
「…祥之介、楽しかったな、今まで」
「どうした?急に」
「…死んではいけない」
「成葉?」
成葉の顔を見ようと腕を解こうとする祥之介だが、成葉はより一層力を込めて抱き着いた。
「私は…、祥之介を失いたくはない」
「成葉…」
「生きていてほしいのだ」
「ああ、分かった。命を粗末にするような戦い方はしない」
「約束してくれるな」
「ああ。成葉も約束してくれ」
「何を?」
「戦には出ないと」
「…ああ、約束する」
「良かった」
「…もう行かなければならない。父に呼ばれている」
成葉はゆっくり腕を解き、部屋の方へと歩き出した。
「成葉っ」
祥之介に呼び止められ一瞬躊躇ったが、成葉は足を止め、振り返った。
「なんだ」
「何かあったのか?」
「何もない。明日から戦だと思うと少し怖いだけだ」
「そうか。それならいいが」
「祥之介もそろそろ皆の所に戻った方がいいんじゃないか」
「そうだな。じゃ、また明日、おやすみ、成葉」
「おやすみ、祥之介」
祥之介は成葉に軽く手を振ると裏庭から出て行った。
「…」
成葉は祥之介の姿が見えなくなるのを見届けると、急いで父の待つ部屋へと戻った。