天才極甘党系男子



「…王城寺先生、いつもここに来て検査なさってたんですよ」


「えっ?」


「心配してました」


体温を測る。


その間もわたしに話をしていた。


「…ほかにも患者さんはたくさんいるのに」


「あの」


「奥さんなら迷惑かけない方がいいんじゃないですか?」


体温計をわたしから取ってそれも記入していく。


「何も知らないからできるんですよね。
…今回は仕方ないですけど。患者さんになっちゃったんだし」


「あ…の」


「わたしの方が知ってるし、好きなのに」


そう言って失礼しますと病室から出ていった。


わたし、何も言えなかった。


あー、頭痛い。


考えたくない。


わたしは布団を被った。



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