夜の虹
「だいたい、45分なんて抜きたいだけのお金のない客ですよー」

さっき火を着けたばかりの煙草をくしゃくしゃ灰皿に押し付けながら、不機嫌なリナちゃんは今日も相変わらず可愛い。

18そこそこのリナちゃんのキャッチコピーは「読者モデル」

スラッとした容姿に、安室ちゃん並みに小さい顔。
眼が優しくてスレてないし、他の女の子と群れることなく、マイペース。雑誌に例えるなら、WOOFINな感じの子。
そんなリナちゃんが私は気に入っていた。

リナちゃんの言うことに深く同意しながら、ポカリスエットを飲む。
ダイニングテーブルに置かれたテレビに映るフジテレビの「いいとも」がちょうどコマーシャルになった。

電話のベルが鳴り、リナちゃんが子機の受話器で受け取る。

「はい。お疲れ様です。」

しはらく相手の話を聞くと短く返事をして、子機を私に差し出した。

「はい、ミカです。はい、待機所着いてます。はい。」

私は電話を置きながら表情で笑い、リナちゃんが察する。

「ミカちゃんも45分?」

クスクスと、してやられた感で私たちは笑いながら、席を立ちカバンを持って部屋を後にした。

「リナちゃん、どこ?」

「ホワイトボックス」

「えー、わたしパッションだし」

パッションを昼間から使う客に、ロクなヤツはいない。
ま、ホワイトボックスも然りだが、オバケもゴキブリも出ないだけマシである。



< 5 / 7 >

この作品をシェア

pagetop