恋の授業。
「ワタシ……」
スプーンを置いて話し始めると、優しく笑う綾子と、顔をぐんと近付けて聞く体制になるマリ。
ワタシは、ワタシは…
「ワタシね、森川君とは付き合えないって思ってたの。」
頷く綾子と、首を傾げるマリ。
「だってさ、同じクラスになって、話すようになって、でも、まだ全然知らないから…」
2人はニヤニヤと笑っていたけど、ワタシは話を続けた。
「でも…、話せなくなって…
森川君のこと考えててね、時間が経てば、とか、断り方が良くなかったから、とか、いろいろ思ってたんだけど。」
何度も何度も頷いてくれる綾子とマリには、もう安心して全てを出そうと思えた。
「いつまでも考えちゃうし…それに……
それに…、森川君に彼女ができちゃったら、やだ…ょ……」
「……」
「……」
綾子もマリも、何も言わない。
ワタシが最後までハッキリ言うのを、待ってくれている…
「好き、なのかはハッキリとわからないけど…」
そう、『好き』と言っていいほどの気持ちなのかはわからないけれど…
ワタシは…
ワタシは……。
「森川君のこと、気になってる…。」
ずっと、うじうじ考えていたのも
時々、心臓が息苦しかったのも
全部、森川君を想ってたから。
もうちゃんと、認めよう。