恋の授業。




……そういえば…



森川君もホクロメガネに会ったことがあることを思い出して、慌てて森川君を見ると、やっぱり驚きが隠せていない。



覚えてたんだ。



その時
妹ちゃんと話していたホクロメガネが、身体ごと向きを変えて森川君と向き合った。



「るりさんのお兄さんでしたか。担任の、水野です。」



水野……?



「あっ、あ、はい、いつも妹がお世話になってます!」



水野?
……ホクロメガネ、水野っていうの?



今更ながら、ホクロメガネの名前を知らなかった。
ホクロメガネはホクロメガネであって、“先生”でも“水野”でもない。



「おにぃのことはもーいーよ先生!それよりさ、ほら見て?!」



突然妹ちゃんに腕をつかまれたワタシは、ハッと現実に戻った。



「えっ?!」



「ほらほら!おにぃの彼女!超かわいいでしょう???くーちゃんって言うんだけどね………」



なんと、森川君そっちのけでワタシの紹介をし始めた!



ちょっ!ちょちょちょ…
待って〜



何も知らない妹ちゃんに罪はないけど、妹ちゃん以外の3人は面識があって、ワタシとホクロメガネにいたっては、いたっては…



ワタシとホクロメガネの関係って、
なんだったんだろう…



あんなに話していたけど、名前も知らなかった。



そうだった。
ただ“近所に住んでる人”だったや……



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