恋の授業。



「ちょっ、ちょっ!いいです、大丈夫です!」



泣きじゃくったワタシのなんとも情けない顔を優しく拭いてもらっているという事実に、急にこっぱずかしくなって慌ててハンカチを奪い返した。



「そんなに仰け反らなくても…」



いくらなんでも油断しすぎたな…
ホクロメガネに顔を触らせるなんて。



いや、実際は触られていないけど、ホクロメガネに対しての警戒心が薄れていた自分を認めるのがイヤだった。



「一体、どうしたんですか?
泣いたり笑ったり、忙しいですね?」



相変わらすホクロメガネの言い方は嫌味かと思うけれど、表情はとっても穏やかで、心外だけどワタシを安心させる。



「んーなんだろ、わかんないけど…。
でも…んーだから、だけどー…」



この気持ちをどう言葉にしていいのか解らずに接続詞を繰り返すワタシは、それでも楽しさが止まらない。



ニヤニヤの顔でチラッとホクロメガネを見てみると、まだ優しく笑っている。



なんとなく、まぁいっか!と思えてしまった。



どうせお見通しって顔してるしっ!


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