恋の授業。
「頑固な君に、おもしろい提案があります。」
楽しそうに言うホクロメガネの顔からは
何かを企んでいる様には感じられない。
「…提案?」
「そうです。」
…なんだろう、悪巧みしてるようには見えないけど…
「フフッ。警戒していますね?変なことではないですよ。」
ワタシの表情で気持ちを読みとって先回りして言われるのはやっぱりムカつく。
「すみません、怒らないで聞いてください。」
「何ですかっ?」
やっぱりなんとなく、不貞腐れたような言い方になってしまう。
「僕と話すときは、今日みたいに思ったままの君を出して下さい。」
「エ?…」
全身、寒気がした……
「今、少し引きましたね?」
「まぁ…」
「それでいいんですよ。何かを考える前に、態度や言葉にしてしまっていいんです。とっても、らくですよ。でも……」
ホクロメガネは正面を向いて
遠くを見つめるような顔をした。
「でも…?…」
待ちきれなくなったワタシは、続きを催促する。
ホクロメガネはもう一度ゆっくりワタシを見て
「僕にだけ、です。」
そう言ったのだ。