恋の授業。
「くーーーーうっ!」
後ろから聞こえた声で、マリだとすぐにわかる。
「くーさーーーーん?」
マリだとわかってても、振り向きたくない。
ワタシが森川君を無自覚でふったと説明メールはしたけど、それについての返事がなかったから正直マリに何を言われるのかこわいんだ。
「くーーーっ…」
でも、マリの声が低くなった今、これ以上知らんフリもできない。
「お、おは!」
「そのぎこちない笑顔要らないから。」
怒っているような、呆れているような…
そんなマリを見ていたら自然と溜め息が出てしまっていた。
「朝から人の顔見て溜め息って…。
確かにあたし、くーはおバカちゃんだと思うけど、計算高くない女って嫌いじゃないよー」
多分、これはマリにとっての最大の慰めだ。
女子力の高いマリにとって、こんな失態はあり得ないんだろうけど、ワタシを解った上でそう言ってくれてるんだと思える。
「マリ。意外と優しいじゃん。ありがとう。」
マリを見ていたら、何故かマリの方が悲しい顔をしていた。
眉の間にシワをつくって、今にも出かかった言葉を、一生懸命押さえ込んでいる。
「と、友達じゃん?一応…。」
うぅうっ!マリが寒いことを言うなんて…
で、でも、本気だ……
「い、一応は取ってよ、一応…。」
本気で心配してくれてるんだ。