恋の授業。
「確かに、森川君を期待させたくないなら、君の方から関わっていくのは難しいかもしれませんね。」
やっぱりそうなのか…と思いながら自然と溜め息が1つ出た。
自分でもそうだと思っていたけど、ホクロメガネにそう言われると、そうなんだろうと思えてしまう。
これはもう、しっかり覚悟決めるしかない。
それなのに…
次の瞬間、ワタシを悩ます一言が発せられた。
「でも……。もしも君に覚悟があるなら…先のことは考えずにとりあえず突っ走ってみるという手もあるんですよ?」
……ン…??
突っ走るとは、なんて無縁な言葉……。
「若いんだから、先のことばかり考えてないで、まるく納めることばかり選ばないで、思った通りに行動してみてもいいんですよ?」
ホクロメガネの言っていることを理解した途端に、体中が熱くなっていく。
そんな、気持ちのまま動いた事なんて記憶にある限りない。
そんなこと、したくてもできない…
そんなこと、したらいけない…
突然ドクドクと心臓が暴れ出してワタシの胸を痛くする。
たまらなくなって押さえ込んでも、内側まで届かない。
「そんなこと…できないよ……。
そんなの、したらいけない…。」
そう言うのがやっとのワタシを、隣にいるホクロメガネが微動だにせず見ている…
痛いくらいにうるさい心臓と闘っていると、頭を暖かい何かが包み込んだ。
あ……
暖かいそれは、ホクロメガネの大きな手だった。