恋の授業。
「くーさぁ、最近ずっとそんな感じ。」
注文を済ませた途端に発せられた言葉は
いつもはこういうことを言わない綾子だった…
きっと、ワタシの事を気にしてくれながら、ワタシから話すまでは、と、そっとしていてくれていたんだろうと思うと、急に申し訳ない気持ちになった。
「……。2人とも…ごめん、ね。」
2人に伝えたいことがこの短時間で次々と沸いてきて、うまく言葉にできないワタシは結局、こんなシンプルな言い方しかできなかった。
「もう森川と話してないでしょ?この前の、ふったつもりじゃなかったって言ってから、どうなったの??」
言ってから……???
…そうか、マリはワタシが無自覚でふっちゃったことを、森川君に説明してると思ってるんだ…。
やっぱりそうするべきだったのかと今更焦りだして、何も言えないでいると『ハイッ』と小さく手を挙げながら綾子が入ってくる。
先生ぶったマリがすかさず綾子を指すという流れは何度か見ている分、少し落ち着けた。
「ふった、ふらないの件からお願いします。」
そうだよね。
綾子には、何にも話してなかった。
マリだって、森川君から何か聞いてるくらいで、ワタシからは話してないし…。
よく聞く【女子】っていうのは、恋愛に関しては特に、進展があったら報告をするのが義務みたいになってるし、それをしないと信用されてないと感じられて距離を置かれるっていうのに、それを全くしないワタシに対して、そろそろというタイミングで話ができるように引き出してくれる2人にとても感謝してる…
今日は全部を聞いてもらいたいと思った。