(続) 冷めた結婚
「ただいま」
そんなことを考えていると、輝が帰ってきた。
「あっ、お帰り!」
輝を責めない。
そう決めて、私は玄関に向かった。
「遅かったね?」
「ん、愛海なんかあった?」
「えっ?」
何か可笑しかったかな?
自分では普通にしてたつもりだったのに、輝はすぐに私の変化を見破った。
「別に普通だよ?何もないよ」
「嘘だ」
輝に敵う日っていつくるんだろう。
「嘘じゃないよ?本当に何もない」
「嘘だ、じゃあなんで、俺の目見ないの?」
きっと、敵う日なんて来ないのかもね。
「見てるよ?」
「ほら、ちゃんと俺の目見ろよ、それとも何か言えないことでもあった?」
段々、輝の声のトーンが下がっていく。
まずい。このままじゃまた喧嘩になっちゃう。
私はゆっくり輝の目を見つめた。