(続) 冷めた結婚
「これでいい?」
「俺に言えないことがあるんだろ?」
視線を合わせても輝は顔色一つ変えず、同じ質問を繰り返した。
言えないんじゃないよ。
言ったら気持ちが止められないから、だから言いたくないだけだよ。
だってきっと喧嘩になる。
また喧嘩になるなんて、嫌だから。
またあんな風に輝が怖くなるの、嫌だからだよ。
「何にもないって。輝勘繰りすぎ!」
私はそう言って笑ってみせるけど、輝は無表情のまま。
その場の空気が耐えられず、私は輝から鞄をとって、リビングに戻ろうとした。
「待て。話はまだ終わってないだろ?」
しかし、腕を握られてリビングに向けた足を再び輝の方へと向けられてしまった。