年上のあなた

「要は、本気で好きになったら、余裕なんか無いって話だろ?」

素面で、しかも職場でこんな話をしてるんだから、そうかもしれない。

「林君、あの…。」

聞き慣れた柔らかい声に、俺はバネ仕掛けのおもちゃみたいに勢い良く顔を上げた。

林の後ろに、綾先輩が立っていた。

ジャケットにタイトスカートにハイヒール。
隙の無い戦闘服姿で、照れ臭そうに微笑んだ。

焦る反面、今すぐ押し倒したい衝動にかられた。

「いっ、いつから…。」
「林君の、恋だな、恋…のあたりかな。」

林が楽しげに笑った。
どうやったかは知らないが、こいつの仕業なのは間違い無い。
< 9 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop