妖精と精霊と人間と
 「ティミッドの村の若人よ!今こそ、その呪いは解かれた!村に戻って、盛大に祝杯を上げるのだ!そなた達を縛める者はいなくなった。さあ、行くが良い!」
 エアリエルがそう叫ぶと、若い男たちは村に戻って行った。数分後、村からは歓喜の叫び声が上がった。それには、先に村に戻っていた明達の声も含まれていた。
 その夜、村はドンチャン騒ぎだった。村の酒場では、英雄となった大気の精をたたえていた。大気の精は照れくさそうに微笑むと、美香達を呼んでお礼を言った。そして、一人ひとりにお礼の品を渡した。北斗には光りのダイヤモンドのネックレスを、美香には火のルビーの髪飾りを、明には風のエメラルドの指輪を、ラーグウェイには水のアクアマリンの額あてを、デントには気のムーンストーンの腕輪を、リデロには土のトパーズのベルトを、バンクスには幻のアメジストのイヤリングを、ブラウンには聖水を、それぞれプレゼントした。その日は、遅くまで騒いだ。寝るのも惜しんで。この国のアルコールが入っていないビールを楽しみ、色鮮やかな美味しい食べ物を堪能した。
 次の日の朝、大気の精・エアリエルは村長となる事を決めた。即位式が終わると、北斗達はエアリエルと一言二言言葉を交わすと、そのまま村を後にした。
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