妖精と精霊と人間と

第十四話 川。

 水草の生えた、濁った川沿いを歩いている時だ。北斗は小さい頃の民謡を思い出していた。
『緑の長い髪の毛に緑の肌
 カッと開いた大口にとがった緑の牙
 鬼婆の顔した恐ろしい水魔・グリンデロー。
 水辺に近寄ったら食われるぞ。
 美しく若い女性の姿で現れる・ルサールカ。
 でも、気をつけろ。
 人を水に引きずり込んで殺してしまう
 自然界の恐ろしい妖精だ。
 気をつけろ。
 気をつけろ。』
 何故、北斗がこの曲を思い出したのか。この付近は、最近グリンデローとルサールカの出没率が高かったからである。グリンデローは、その顔面を踏みけってやれば問題は無いのだが、ルサールカは大勢で棲んでいる事が多いのでやっかいなのだ。
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