妖精と精霊と人間と

第二十七話 墓石~デントの場合~

 次の日の朝。墓石のある西の王城の跡地へと、ノース・グリード・スター(滝北斗)、紺野美香、聖堂時明、ブラウン(風流嵐)、リデロ・ドラン、デント・ラドルフ・フィレ・トム・セリアの六人は向かった。
 彼等は、墓石の前に行くと、その石を見つめた。そこには、『友よ。貴方と共に闘えたこと、私たちは忘れない。』と、でかでかと書いてあった。そして、地面に寝かせてある石碑には共に戦った戦友の名が刻まれていた。そして、その上にはキンモクセイの小さな花がたくさん置いてあった。真後ろに植えてある木から、舞い降りてきたようであった。美香は、ポケットからノームに託された小瓶を取り出した。ふたを開けると、光はエルフの森へと飛んでいった。それを見送ると、身かは墓石の前に泣き崩れた。そして、顔を両手で覆った。明も、美香の横で立ったまま泣いた。北斗も、墓石に背を向けて泣いた。ブラウンも泣いた。リデロも、両手で顔を覆って立ったまま泣いた。デントも、目から大粒の涙をこぼしていた。
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