妖精と精霊と人間と

第七話 小鬼。

 「では、本題に入りますね。」ブラウンがそう言うと、皆は彼女の方に向き直った。「まずは、オークについてです。炎の種族である彼等は、神が作り出した種族(他の種族はドワーフ・エルフ・人間・巨人)の中で、もっとも強い肉体と精神力の持ち主だと言われています。巨人が滅亡した後、一時期はエルフを追い出して大陸最強の座にまで上り詰めた事がありますが、エルフと人の連合軍に負け―――これが、ちょうど千年前ですね。―――、この前までは大陸北部の極寒の地に住んでいました。しかし、そこに悪の手がはびこってしまった為に、ドワーフの住む鉱山からわずか一〇数メートル離れた所に住んでいます。
 そして、ドワーフですが・・・彼等は地下に住み、その国の名をニダヴェリールと呼びます。また、ドワーフの事を〝イヴァルディの息子〟と呼ぶ時もありますね。彼等はモリアの鉱山と地下を行き来し、鉱夫の仕事をしている小人の妖精です。身長は一メートルくらいの人間の姿で、髪とヒゲは長く、見た目は醜いです。緑や赤の三角帽子をかぶっていて、足が短く腕が長いために、両腕が床につくこともあるといいます。大地の種族であり想像を楽しむ種族でもあり、体力が強く手先が器用です。巨人が滅びた後に、『強い者に味方する政策』をとってきた為に、どの種族からも嫌われていますが、巨大な彼等の組織は、人間が大陸の大部分を支配するようになっても、経済力と組織力を誇っています。」
 ブラウンが説明し終わると、美香と明は納得して頷いた。
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