名前のない想い




いつもなら3人で楽しく帰るけど、


今日はいつもより遅く帰った。



2人に会うのが嫌だったから、保健室にずっといた。





夕焼けがきれい。


あたし、なにがいけなかったのかな。





ふいに涙がこぼれ落ちた。





「…うぇぇん。」




声に出して泣いてしまった。


寂しくて悔しくてわからなくて。



どうすればいいかわからない。







「…みなみ?」





この声…。





「…健人。」





健人があたしに近寄ってきて頭をポンポンとしてくれた。




あたしに何も聞かず、ただただそばにいてくれた。







「健人、ごめん。」






「なんでお前が謝るんだよ。」






健人、健人。



誰よりも優しくて誰よりも素敵な人。





よけいに好きになっちゃうよ。





あたしが少し泣くのが落ち着いたとき、健人が優しく笑ってくれた。





「お前ん家まで送るよ。」




そう言った健人は、あたしより少し先を歩いた。


いつもより、歩幅をせばめて。






「…ありがとう。」





あたしは、それしか言うことができなかった。



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