偽りと君


のんびりご飯を食べて…

他愛ない世間話をして…



「あ、電車ヤバイ」


「そろそろ帰るか?」

「うん。」


二人でホームで電車を待っていると


「そういえば」と、

たった今、思い出したかのように
葵椎が言葉を紡ぐ。


「あいつとどういう関係?」


さりげなく、でもあたしの動揺を引き出すのには十分だった。


「んー…」

考えても答えなんて今は出るはずないのに
それでもやっぱり考えてしまうのは、
現実を認めたくないからか…はたまた
自分の気持ちが変化することを恐れてか…






「彼氏?」

「じゃない」

それはすぐに返答できる。でも、








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