君と歩く未知
カズくんはアタシに怯えるように尋ねた。
アタシはカズくんの方に向き直った。
カズくんの顔は夕日に照らされてオレンジ色をしていた。
アタシはカズくんと目を合わさずに言った。
「…赤ちゃん、堕そうと思うの…」
カズくんはうつむいて、アタシに涙声で言った。
「どうして…?二人で育てようって言ったじゃん…」
アタシは淡々と続けた。
「赤ちゃん…カズくんの子じゃなかったんだ。レイプされた時にできた子だったの。ごめんね、色々迷惑かけちゃって」
そこまで言って、アタシは涙が溢れてくるのを腕で荒く拭った。
「弥生は…赤ちゃんを産みたかったんだろ?…大好きだったんだろ?…それなのにどうして…」
アタシはカズくんの言葉を遮って強く言い放った。
「産みたい!!産みたいよ?…今でもその心は確かにあるよ。でも、この子にはお父さんがいない。産んでも、この子を不幸にしちゃうだけなんだもん…!」
カズくんは顔を上げて、アタシよりもっと大きな声で言った。
「産めば良かったじゃねぇか!…オレに本当のことを黙って、オレの子として産めば良かったじゃねぇか…オレを騙せば良かったじゃねぇか…」
カズくんを騙す?
そんなことできないよ…
アタシはその時始めてカズくんの目を見た。
力強くて、だけど優しい目…
決意が一瞬揺れそうになったけど、アタシはカズくんを睨んだ。
「そんなこと言わないでよ!何も知らないくせに…アタシがどんな気持ちでこの決意をしたかなんて知らないのに…」
カズくんは驚いたような目でアタシを見た。
そして、カズくんの目からボロボロと涙が流れて落ちた。
本当に何も知らないのは…アタシの方なのかも知れない…
カズくんがどんな気持ちなのか、本当にわかっていないのはアタシの方なのかな…
アタシはカズくんの方に向き直った。
カズくんの顔は夕日に照らされてオレンジ色をしていた。
アタシはカズくんと目を合わさずに言った。
「…赤ちゃん、堕そうと思うの…」
カズくんはうつむいて、アタシに涙声で言った。
「どうして…?二人で育てようって言ったじゃん…」
アタシは淡々と続けた。
「赤ちゃん…カズくんの子じゃなかったんだ。レイプされた時にできた子だったの。ごめんね、色々迷惑かけちゃって」
そこまで言って、アタシは涙が溢れてくるのを腕で荒く拭った。
「弥生は…赤ちゃんを産みたかったんだろ?…大好きだったんだろ?…それなのにどうして…」
アタシはカズくんの言葉を遮って強く言い放った。
「産みたい!!産みたいよ?…今でもその心は確かにあるよ。でも、この子にはお父さんがいない。産んでも、この子を不幸にしちゃうだけなんだもん…!」
カズくんは顔を上げて、アタシよりもっと大きな声で言った。
「産めば良かったじゃねぇか!…オレに本当のことを黙って、オレの子として産めば良かったじゃねぇか…オレを騙せば良かったじゃねぇか…」
カズくんを騙す?
そんなことできないよ…
アタシはその時始めてカズくんの目を見た。
力強くて、だけど優しい目…
決意が一瞬揺れそうになったけど、アタシはカズくんを睨んだ。
「そんなこと言わないでよ!何も知らないくせに…アタシがどんな気持ちでこの決意をしたかなんて知らないのに…」
カズくんは驚いたような目でアタシを見た。
そして、カズくんの目からボロボロと涙が流れて落ちた。
本当に何も知らないのは…アタシの方なのかも知れない…
カズくんがどんな気持ちなのか、本当にわかっていないのはアタシの方なのかな…