君と歩く未知
 「ごめんね…カズくん…」
アタシはカズくんの温かい両手を解いて歩き始めた。
「弥生ー!」
カズくんがアタシに向かって叫んだけど、アタシはもう振り返らなかった。
これが…この決断が正しいんだ。
アタシは間違ってなんかいないよね…?
アタシはそとに出て、オレンジに染まっている空を見上げた。
天国のお父さん…これはカズくんのためになっているんだよね?
アタシはお腹に手を当てた。
赤ちゃん…ごめんね。

 この決断は間違っていなかったんだろうか?
カズくんにすがって赤ちゃんを産めば良かったんだろうか?
今でもわからないんだけど…
一つだけ言えること。
今、アタシのお腹に赤ちゃんがやって来てくれたら、アタシは迷わず産むよ。
もう二度と小さな命を消したくない。
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