君と歩く未知
 「あーあっ!散々だったね、みんな大丈夫だった?」
美和ちゃんは妙に明るく言った。
竜平くんは肩を落としている。
「…悪かったな竜平…」
カズくんは竜平くんに頭を下げた。
「いや…そうじゃねぇんだ」
カズくんは首をかしげた。
「あいつに裏切られたのもそりゃショックだけどさ…弥生をヤッたのがあいつの連れだっていうことの方がショックなんだ…」
みんなは黙り込んでしまった。
アタシは笑った。
「アタシは気にしてないよ!…ホラ、元気出してよ竜平くん!」
アタシはそう言って竜平くんの肩を叩いた。
「ごめん…ごめんな弥生…」
竜平くんはそれでも頭を下げ続けた。
アタシは首を横に振ってニッコリ笑った。
 美和ちゃんは竜平くんに尋ねた。
「ってゆーか、イマイチ事態が理解できないんですけどー!」
アタシたちはその場に座り込んで話を聞くことにした。
竜平くんは悲しそうに話した。
「あの娘…サチって言うんだけど、オレと同じクラスで…すっごく可愛くてさ、ずっと好きだったんだ。それで先月から付き合い始めて…でも、サチはそんなに乗り気じゃなかった…オレが半ば強引に付き合わせたんだ。その割にオレは部活ばっかで構ってやれなくって…サチはきっとそれが気に入らなかったんだよ…」
そこまで言って竜平くんは黙り込んでしまった。
カズくんは竜平くんの代わりに口を開いた。
「…オレ、ダチの紹介で最近サチと仲良くなったんだよ。…竜平の彼女だって知らなかったし。そんで今日はサチと一緒に帰る約束してたんだ。…腕組んでたら竜平たちと鉢合わせ…いきなり竜平に怒鳴られてビビッたよ」
カズくんはそこまで言ってクスッと鼻で笑った。
「ごめんな、和哉、直樹…」
竜平くんは深く頭を下げた。
しんみりした空気がアタシたちの間に流れた。
すると美和ちゃんが空気を明るくしようと元気良く言った。
「ちょっと!謝るならアタシに謝りなさいよ!さっきケンカ止めに入ったら殴られちゃったんだけど!マジ痛かったんだからね!」
直紀くんは美和ちゃんの頭を小突いた。
「お前レディースみてぇだったぞ!カッコ良い!」
美和ちゃんはそれを聞いて直紀くんにいつものようにヘッドロックをしかけた。
それを見てアタシたちは少し笑った。
< 172 / 202 >

この作品をシェア

pagetop