君と歩く未知
 ふと、カズくんが立ち上がった。
「ちょっと弥生借りて行って良いか?」
それを聞いたみんなは一瞬驚いたけど、次第にニヤニヤし始めて
「どうぞ~、ごゆっくり~」
と、冷やかした。
アタシは驚きのあまり口がポカーンと開いたままになってしまう。
カズくんに手を差し出されて、アタシは素直にカズくんの手を握った。
 カズくんの歩幅は大きくてアタシはカズくんの少し後ろを早足で付いて行く…
「どこに行くの?」
アタシは事態が理解できなくてカズくんに問いかけた。
「さあな」
付き合っていた頃とは違う、さらっとした答え。
「何しに行くの?」
「さあな」
…カズくん、少し冷たくなった?
イヤ、違う…アタシがもうカズくんの彼女じゃないからだ。
…じゃあ、アタシはカズくんにとって何なの?
カズくんに言われるがままに付いてきたけど、なんだか怖くなってきた。
 だけど、少しだけ淡い期待をしている自分がいる…
カズくんともう一度やり直すことができるのかなぁ…?
今、カズくんにやり直そうって言われたらアタシはどうするだろう?
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