君と歩く未知
 アタシとカズくんは近くにあったベンチに座った。
アタシたちはずっと手を繋いでいた。
しばらくその温もりを無言で感じていたけど、アタシは口を開いた。
訊きたいことが…たくさんあった。
「ねぇ、カズくん、どうしてこんな所にいたの?どこかに行く途中だった?」
アタシはカズくんの顔を見上げながら訊いた。
「あぁ、弥生の家に行こうと思ってたんだ」
カズくんは笑いながら答えた。
アタシはパッと顔を輝かせてまた訊いた。
「学校を辞めて何してたの?」
カズくんはバッグの中から何かを取り出した。
生徒手帳…?
「違う高校を受験し直したんだ…。学校辞めて三ヶ月くらいバイトしながら考えたんだ。オレは将来何がしたいかって…」
「それで、この高校を選んだ…?」
アタシは生徒手帳を指差しながら訊いた。
カズくんは頷いた。
「この高校でホームヘルパーの資格取るんだ」
そんな風に言うカズくんにアタシはニッコリ笑って言った。
「すっごくいいと思う!良かったね、夢見つかって」
アタシが嬉しそうに言うとカズくんは少し照れて、アタシの頭をクシャクシャ混ぜた。
こんな仕草もちっとも変わってないね。
「弥生は?進学?就職?」
アタシはニッコリ笑って答えた。
「進学!美術の先生になりたいの!」
カズくんは驚いた目をして、それから言った。
「すごいじゃん!…弥生は絵が好きだったもんな」
アタシは頷いた。
「そう言えば、オレの絵見てくれた?美和に預けたんだけど…」
またアタシは頷いた。
それから、カズくんの絵を思い出しながら言った。
「…ステキな絵だった。あの絵を見てアタシ、今日カズくんに会いに行こうって思ったの」
カズくんは「そっか…」と言って、アタシの目を見た。
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