君と歩く未知
 しばらくすると、カズくんが帰って来た。
「待たせてごめんな」
カズくんはアタシにお茶を差し出した。
そしてカズくんはお仏壇の前に座って手を合わせた。
「弥生、話してなかったけど…オレの母さんも弥生のお父さんと同じように、自殺しちゃってんだ」
アタシは驚いて、お仏壇の前に座るカズくんの隣に座った。
「オレがまだ小学五年生だった時かな…母さん、ずっと鬱で…飛び降り自殺しちゃったんだ」
アタシは無言でカズくんの手を握った。
カズくんは続けた。
「…オレ、生きるのがどうでも良くなって思ったんだ。俺も死んで母さんの所に行きたいって…丁度オレと出会ったばっかの頃の弥生みたいに…」
アタシはびっくりして涙が溢れてきた。
カズくんはアタシの涙を拭ってくれた。
そしてアタシに優しく言った。
「…びっくりさせてごめんな。…でも、オレあの時思ったんだ。初めて弥生と会ったとき、弥生の塞ぎこんだ姿を見て、この子も何か悲しいことがあったんだろうなって…だから弥生のことを放っておけなかったんだ」
アタシは泣きながら言った。
「…そうだったんだ」
カズくんは頷いた。
そしてアタシの背中を撫でながら優しく言った。
「だから、もしかしたらオレの母さんが…あの日のオレを美術室に向かわせたのかなって。『この子を助けてあげなさい』って。…最初は友達になってやるだけのつもりだったのに、いつの間にか弥生のことを好きになってたよ」
アタシはそれを聞いてニッコリ笑った。
 そしてアタシもお仏壇に向かって手を合わせた。
カズくんのお母さん、ありがとう。
アタシとカズ君を出会わせてくれて…
アタシ、カズくんと出会えて本当に良かったって思っています。
カズくんがいなかったら、アタシはこんなにも幸せにはなれませんでした。
本当に感謝しています。
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