君と歩く未知
 この町には…いや、この世界にはたくさんの人が生活してる。
アタシはその数多い人のたった一人でしかない。
この広い世界のたった一部でしかない。
でも…そんなアタシでも、必要としてくれる人がいる。
アタシのことを大切に思い、愛してくれる人がいる。
それは、お父さんだったり、お母さんだったり、カズくんだったり…。
アタシはその人たちを悲しませてはいけないんだ。
だから…アタシはもう二度と「死にたい」なんて言わないよ。
ねぇ、カズくん、約束するよ。
アタシ、これから前向きに生きるよ。
 だから、カズくんに本当のことを話そうって思ったの。
一年前にアタシと家族を襲った悲劇のことを。
ずっと話すのをためらってきたけど、もう大丈夫。
今のアタシには、こんなにも生きる力があるんだもの。
あの日のことを思い出して鬱になったりすることもないと思う。
カズくんが支えてくれると思うもん。
 
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