君と歩く未知

　アタシはたまらなくなってカズくんの手を思わず掴んだ。
「…ねぇ、カズくん怒っちゃった？ごめんね、さっきは…とっさに言葉が思いつかなくって…それであんなわけわかんないこと口走っちゃって…」
カズくんはゆっくり目を開いた。
そしてアタシの目を見た。
やっぱり怒ってるのかな…
アタシがそう思ってしゅん…としているとカズくんが言った。
「へ？オレ、全然怒ってないけど？」
そうさらっと言ったカズくんは本当に怒っていないようで顔つきもいつもと変わらない。
アタシは思わず間抜けな声を出してしまった。
「へ？…あ、アタシの思い込み？」
そう言うとカズくんは頷いて笑った。
その笑顔にアタシはなんだかホッとした。
　「それにしても、さっきの弥生可愛かったなー」
アタシはその言葉にびっくりして顔を上げた。
「えっ…なんのこと？」
カズくんは意地悪そうな顔で笑った。
「…教えない」
そんなこと言われると余計気になるよ。
「ねぇ、なんのことなの？」
「教えないってば」
「教えてよ、意地悪ー」
アタシがそう言って頬を膨らませた時だった。
カズくんが突然アタシの体を抱き寄せた。
アタシはびっくりして、体が硬直した。