嘘つきなポーカー 1【完】
奈津子が由佳に向かって投げたボールは、男子が使っている隣のコートにころころと転がって行っていた。
由佳は仕方なくボールを取りに、男子のコートのほうへ向かう。
「うわぁ、幽霊が来たぜ。」
男子の横を通り過ぎる度に、馬鹿にしたようにそう言う声が聞こえる。
もう慣れてしまったこの言葉に、由佳は耳を貸すこともなくボールを取りに向かう。
ボールの前まで来て、由佳は手を伸ばそうとした。
だが由佳よりも先にボールに手を伸ばしていた誰かが居た。
由佳は思わず上を見上げる。
「小野寺薫…。」
そこには薫の顔があった。
さらさらの黒い髪、切れ長の目、ビー玉のように美しい真黒な瞳、鼻筋の通った高い鼻、小さな顔。
初めて間近で見る学校一のモテ男は、本当にイケメンの一言に尽きた。