嘘つきなポーカー 1【完】


―――…。


「ただいま。」


由佳の言葉に誰も返事はしない。

由佳が薄暗いリビングに入ると、机の上にメモが残されていた。


『ご飯は自分で適当に何か作って。』


由佳の家は母子家庭だった。
由佳の両親は由佳がまだ生まれて間もない頃に離婚したらしい。
だから由佳は父親の顔を知らない。
それ以来、由佳は母の手によって育てられてきた。


母はほとんど家に帰ってこない。
母は夜の仕事をしており、夜な夜な外に出掛け、そして帰ってこない。
月に1、2回ほど気まぐれで帰ってきた時に顔を合わせる程度だ。


由佳は台所に行って、冷蔵庫の残りのものを確認する。
どうやら今日は買い物に行かなくても済みそうだ。

由佳は物心ついた時から家事洗濯をやってきた。
そのため、料理の腕も手慣れたものだった。


「いただきます。」


誰もいないリビングに、由佳の声が響く。
時計の針が時を刻む音だけが聞こえている。


由佳は1人、自分で作った晩御飯を食べた。

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