優しくないっ、優しさを感じない!


レナちゃんと校門で別れてすぐ、あたしはそのまま帰る事無く校舎の方へと戻る。


それは今までずっと繰り返してきた事。習慣にもなっていた事。でもここ一週間、ピタリと無くなっていた事。


昇降口で靴を履き替えながら、階段を上りながら、そこへ向かう廊下を歩きながら…あたしの心臓は大きく動いていた。


決めたんだ。

もし本当にあたしの事が好きで、もし本当にあたしに会って話がしたいと思ってくれているんだとしたら…きっと居るって、居るはずだって。だからそれで決めようって。


…辿り着いたそこを前にして、あたしは足を止める。


居るかな、居ないかな。居たらどうしよう、でも居なかったら…


居て欲しいと願う自分がいる。でも居なくても良いと思う自分もいる。


…あたしは、なんで進藤が好きなんだろう。

進藤はいつも困った時、辛い時、厳しかったり冷たかったりしながらも話を最後まで聞いてくれた。

進藤はあたしの言葉を真っ直ぐ受け止めて、ちゃんとそれに言葉を返してくれた。

進藤はあたしにあたしを教えてくれた。コースケの事が好きなあたしも、レナちゃんの事を想うあたしも、自分が分からなくて不安になるあたしも、進藤はずっと見てくれていて、結局ずっと支えてくれていたのは進藤だった。

進藤はきっとあたしの全部を知っている。

それでもあたしを見てくれている。

だからあたしに色んな言葉をくれる。

そこに生まれる色んな想いをくれる。


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