【完】甘い香りに誘われて 2 *極道若頭×姐さん修行中の♀
「結衣!」
「結衣どこだ。」
薄れゆく意識の中に大好きな隼のバリトンが聞こえた。
それだけで幸せに感じた。
最後に見る夢かもしれないと思ったけれど
私は閉じた目を開くと残された力のすべてをこめて
そばに落ちていた時計を声のする方に投げた。
それが届いたのかどうかもわからない。
そこに隼がいるのかさえもわからなかった。
だけど投げた時計から優しいオルゴールの音色が炎の中に流れた。
「結衣!」
霞んでいく意識の中で隼の姿が見えた。
消防の人らしい姿も見えて麻衣さんが助かると安心した。
「隼…」
私は隼に手を伸ばし「麻衣さん…」
「大丈夫だ。行くぞ。」
隼が私を抱きかかえ歩いてくれているような気がした。
身体にまた熱い熱風が感じられたけど私の意識はそこで完全に途絶えた。
「結衣!結衣!しっかりしろ。」
「結衣!息をしろ!結衣!」
「結衣さん!結衣さん!」