【完】甘い香りに誘われて 2 *極道若頭×姐さん修行中の♀
「いいか、親父は藤堂のトップだ。傘下の組員からしたら一番上に君臨する男だ。自分の組の組長よりもさらにその上の人間なんだ。」
「それはわかる。」
「親父がいるということが絶対なんだ。」
私は頷いた。
「そして俺がいる。」
「うん。」
「だから親父はもちろん俺も揺らぐことは出来ない。傘下にも動揺が走る。」
「うん。」
「俺や親父が決して1人で行動しないのはその為だ。変な抗争の引き金にもなりかねないからな。」
「うん。」
「姐さん達にとってはお袋が親父と一緒だ。お袋の動向を見て安心する。常に凛として平常心でいる姿を見せていなきゃいけないからお袋はあまり関わらない。病院で結衣を見て泣くお袋の姿を組長たちも姐さんも初めて見たと思う。」
「本当に心配かけちゃった…。」
「あぁそうだな。でも結衣がいろんな姐さんと話してきたことをお袋に話すだろ?それで状況がわかってお袋も助かってるんだよ。」
「そうなの?間違ってないの?」
「あぁ大丈夫だ。でもな、お袋の存在と結衣はまた違うんだ。結衣が笑ってることで姐さんたちは安心するんだ。何も起きてない。大丈夫だって。」
「うん。」
「命の重い軽いじゃなく、これは極道の道に入ったなら背負っていく宿命だ。」
「はい。」
「結衣が動揺すれば姐さんたちも動揺する。上にいる人間を守ることは自分達をも守ることなんだ。」
「はい。」
「まぁ、二宮の姐さんの件もそういうことだ。姐さんが命を張って結衣を守るべきだったってことだな。」
「庇ってくれたよ?」
「あぁ。姐さん達の件については俺達は何も口を出さない。お袋や上条の姐さんが決める。」
「え?」
「大丈夫だ。どっちも結衣の気持ちを良くわかってる。」
「うん。」
「結衣の笑顔が姐さんたちを守るんだ。それを覚えておくんだ。」
「はい。」
私はその言葉をかみしめながらそっと隼に抱きついた。