なんで私が芸能人ッ!?
「ど、どういうこと……?っていうか、なんで?」
「だってさー、どうみてもりまって目立つの好きじゃなさそうじゃん。
そりゃ、りまの容姿は目立つよ?でも、ふとした時すっごい不安げな顔してるの。
普段の?りまならどんなときでも自信に満ちた顔、するんじゃない?」
ば……バレてる?いや、きっとこれはまだいける範囲……!!
ていうかなんで!?なんでわかるの!?稚菜ちゃんといい、宮崎さんといい……。
私そんなに演技下手ですか!?
「そんなことないって。
芸能界の理由だってスカウトとかあるじゃん?」
実際スカウト……だし、一応。
「んー、でもりまは考え無しに芸能界入るタイプじゃなさそうなんだよね。」
もぉ………。
さっきの可愛らしい稚菜ちゃんどこ行ったの!?
ここに探偵さんがなんかいるんですけどー!!
「あはっ、稚菜ってこんなで馬鹿っぽいけど、人のことはよく見てるんだよ?
だって、芸能界って好かれないと生きていけないから。」
「生きていけない……?」
え、ファンの人に好かれる必要はあるだろうけど、同業者相手に媚び要らなくない?
「例えば大物役者さんとか、監督さんとか。マネージャーにも嫌われたらおしまいだし。
んで、顔色窺いつつも稚菜っていうキャラを確立してるってこと。」
んーと?これだとつまり……
「稚菜ちゃんはキャラを変えてるってこと?」
「そだよー。てゆーか、芸能人なんて皆キャラ作ってるって。
素でいる人ってすっごく稀だよ?」
あ、そう言えば稚菜ちゃんの言葉がだんだんキツくなっていってるような……。
でも私は作ってるっていうには度が行き過ぎてる、と思う。
だって……私は「りま」を演じてるから。
だからね?
「そうなんだ……。
けど、私が芸能界入ったのはいろんな人を演じて女優になりたいからだよ。」
ってにっこり言って、微妙に話をそらす。
こんなに簡単にボロを出すなんて、演技者失格でしょ?
だから私は、いつでもりまでいる。
もう、誰にも勘づかれないくらい完璧に。
完璧に……芸能人の矢城りまになるんだ。
「へー、確かにりまの演技ってすごいよね。
新人さんなのにすっごい迫力……というかオーラで。」
「え、そんなことないよ……。」
きっと、私はまだまだなんだ。
宮崎さんのほうが、何倍も演技がすごい。
「もお~、謙遜しちゃって嫌みですかぁ?
それより話変わるけど、りまのマネージャーかっこよくない?」
あれ……?話、上手くそらせたのかな?
「うん、うちの学校の王子さまだって。」
「えっ、おんなじ学校なの!?
しかも学生!?」
「うん、中高一貫校で私が中三、先輩が高三だよ。」
「えー、高校生でマネージャーなんだ……。
ワケありとか?」
「ワケありっていうか……藤堂財閥の御曹司……だからかな?」
「ええっ!?
藤堂財閥ってあの!?」
やっぱり、あのだよね。
「うん、頭も良いし完璧だよね。」
「えー良いなぁ……そんな人がマネージャーとか。
あ、もしかして彼氏だったりするの?」
……………?
「えっ!!??か、かか彼氏!?
ないない、あり得ないよそんなこと!!!!!!」
せ、先輩が彼氏とか……釣り合わないにもほどがある。
第一、私に女の子を敵に回す根性はない。
「え…………、そんなに力一杯否定しなくても……。
いやまあ、じゃあ……稚菜狙って良い?マネージャーさんのこと。」
「えぇっ!?」
「えっ、ダメだった?」
「う、ううんっ。頑張っ、て……。
応援するから。」
あ、れ……?
なにこれ、私動揺してる?
「ありがと~?じゃあ、稚菜頑張るね!!」
「うん……。」
なんでこんなに動揺してるんだろう……。
先輩のことなんてなんとも思ってないのに。