なんで私が芸能人ッ!?
「……宮崎さん。なんですか?」
「何ってそんなの……あなたが一番わかってるでしょ?」
やっぱり…、演技のことだよね。
でも、それはわかってるけど何にも感じられないんだ。
「……正直、がっかりだわ。
あなたは私と同じだと思ってたから…。
今日の撮影もいつもより楽しみにしていたのに。」
「のに…どうしたんですか?」
本当は……、聞かなくてもわかってるけど。
「楽しみにしてたあなたとのシーン……。
まったく感情が入ってなかったわよね?」
「もともとあのシーンは未夢にあんまり感情が入ってないじゃないですか。」
「ええ、そうね。
だから監督も気づかなかったのかもしれないけど、私まで騙せると思った?
あなたの演技に……未夢が入ってなかった。
それどころか、あなた自身の感情さえなかったんじゃない?」
「私の感情云々はともかく、役って入りきる人とそうじゃない人がいますよね?
私がそうじゃない人っていう場合は考えないんですか?」
あ……。でもすごい。
人と話すのが苦手な私が、宮崎さん相手にこんなに話せてる。
やっぱり…、宮崎さんの言うとおり「りま」どころか「私」すら抜けてるのかもしれない。
「考えないわね。
だってあなた、最初の撮影の日から今日より前の撮影までは……。完全に未夢が憑いてたでしょ?」
なんだか、宮崎さんの言動に反応してる感情は確かにある。
あるけど私は、それを少し離れたところで静かに見ている感じなんだ。
まるで他人事みたいに。
「……………よく……気づきましたね。」
わかっていたこととはいえ、ここまで明確に言われるとさすがに驚く。
「ふふっ………。それはどうも、ありがとう。」
………いや、宮崎さん目が笑ってないから。
「けど、私も悠長に笑ってられる気分じゃないの。
というか、あなたも思ってるんじゃないかと期待していたのに……。
私とあなたは同類だって、ね。」
「同類………。どうでしょう、私なんかとベテラン女優の宮崎さんは全くの別物だって………。
そう思いつつ、どこかでは私と同じだって思ってたかもしれないです。」
いつもの私なら……例えりまが私の中に入ってたとしても、宮崎さんと自分を同じになんて見れないだろう。
ていうか、また私なんかって使っちゃってるし………。
なんかもう………全部どうでも良い。
「そう。なんでも良いけど………、とにかく私は今のあなたに納得しない。
今のあなたとは演じたいとも思わない。
監督が認めたって、私は認めないわ。 」
それだけ言って、宮崎さんは去っていった。
…………こっぴどく言われちゃったな。
なのに、あと一歩のところで悔しいって思いが出てこない。
「………………はぁ。」
近くのイスに座り込んで、思わずため息が出た瞬間。
ガッ………。
「えっ!?何!?」
誰かに腕を捕まれてスタジオの外に向かって連れ去られる。
いや………、
「先輩…………?」