なんで私が芸能人ッ!?
「はー………」
ん?なぜにここでため息!?
「いいか、俺がお前をスカウトしたのは姉がいるからだ。」
それはいわずもがな、でしょうに。
わかってる。……そんなのわかってるのに、ちょっと残念に思ってる自分がいる。
やっぱり、この人が欲しいのはお姉ちゃんだけなんだって。
私のことなんか見ていないって。
いまさら、だよね。こんなの………。
前からそうだ。ずっとかわらない、お姉ちゃんの飾り物。
「…………だがな、それだけじゃない。
そもそも、そんなんで売れるのなんてほんの一時だ。
血筋だけの大根に仕事くれるほど甘い世界じゃないんだ、芸能界はな。」
…………は?
「俺がお前をスカウトしたのはお前の演技をみたからだ。
堂々としたオーラを持ったお前の演技が欲しいんだ。」
「私の、演技………?」
「ああ。お前は姉じゃない。そうだろう?
だからこそ、別の武器を持ってる。
俺は、その武器を生かして欲しいんだ。女優としてな。」
「じょゆ、う……?」
「女優だ。それも、日本一のな。
お前なら、いやお前にしかできないんだ。姉には到底できないことができるんだぞ?
お前は、姉とは違うことをみせたくないのか?」
「………お姉ちゃんと、違う?」
「ああ。舞台も俺が用意してやる。
あとは、お前が思いっきり演るだけだ。」
「舞台………。」
男がニィッと笑う。
「芸能界だ。」