ポーカーフェイス

 じゃな、と言い残し、尋翔は部屋へ入っていった。


「冷てぇヤツだな、おい……」


 1人寂しく悠翔は呟くと、自分も部屋へと入っていった。






 玄関で靴を脱ぎ、悠翔は着ていたダッフルコートを歩きながら脱ぎ捨て、ダイニングへと向かった。


「ふぃ~…」


 ソファに深く腰掛けると、天を仰いだ。

 そのまま瞳を閉じる。

 睡魔が一気にわらわらと寄って集ってきたが、シャワーを浴びないと気が済まない性質なので、頭を振ると、悠翔はソファから立ち上がり、バスルームへと足を向けた。





「ん、ん~…」


 キャスター付きのイスの姿勢正しく尋翔は腰掛けている。

 両手を天に向けて欠伸をすると、普段かけていない黒縁眼鏡のブリッジを押し上げた。


「肩、こっ、たぁ…」


 パソコンに向かっていたからだろう、尋翔は自分の右肩を揉み解す。

 首をぐるぐると回し、もう1度眼鏡のブリッジを押し上げた。

 と、右隣の部屋からサァーと水が勢いよく流れる音が聞こえた。


「シャワー、浴びてんのか…」


 ぽつりと誰に言うでもなく呟いた尋翔は、


「じゃ、俺も」


 と、イスから立ち上がった。

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