ポーカーフェイス
シャワーのついでに湯船にも浸かった悠翔は、下着だけ穿いてその他素っ裸でバスルームを出た。
まだ完全に拭ききれていないのか、その金髪からは水滴が滴り落ちている。
「あー、ケータイ、コートん中だわ」
肩にかけた質の良いタオルでガシガシ頭を拭きながら、悠翔は廊下へ向かう。
と、コートのポケットがが、何やら光っている様な気がした。
「ん~?」
ポケットの中をまさぐると、そこには探していたものがあった。
光っていたのは、ケータイだったようだ。
液晶を操作すれば、『メールを受信しました』の文字。
「誰だ~?」
さらに操作していくと、送信相手には『尋翔』と表示された。
メールを開く。
『さっきの話だけど。
お前がやりたくないなら、やらなければいい と俺は思う
まぁ、自分でよく考えな。
おやすみ。 尋翔』
「ッハ」
悠翔は、鼻で笑った。
「ったく…。素直じゃない、弟だぜ」
ケータイを操作し、メール新規作成のページを開く。
『るせ。んなこた、分かってるんだよ、バカ弟。
子どもは寝る時間だぞ、はよ寝ろ。
さんきゅ。 悠翔』
「……ん。送れたな。…寝るか」
寝室へと向かった悠翔の顔は、どこか嬉しそうだった。